データ基盤の必要性
ビジネスにおいて「データ」は、まるで羅針盤のようなものです。この羅針盤を使いこなせれば、会社は正しい方向に進み、もっと成長できます。
しかし、羅針盤がバラバラだったり、正しく動かなかったりしたらどうでしょう?それでは、正しい方向はわかりませんよね。
そこで重要になるのが、データ基盤です。
データ基盤って何?なぜそんなに大切なの?
ビジネスの世界は常に変化しています。昨日まで正解だったことが、明日には通用しなくなることも珍しくありません。
そんな中で、会社が生き残り、さらに成長していくためには、変化の兆しをいち早く見つけ、対応していく必要があります。 そのために欠かせないのが、データを活用することです。
データ基盤を整える目的は、まさにこの「データをスムーズに、そして安全に活用できる仕組み」を作り上げることなんです。
具体的には、以下の3つの大きな目標があります。
- ビジネスの変化に素早く対応する
- 市場の動きやお客様のニーズが変わった時、すぐに新しいデータを取り込んだり、分析方法を変えたりできる柔軟な仕組みがあれば、会社は無駄なコストをかけずに変化に対応できます。
- 「負債」を抱え込まないようにする
- システムは一度作ると、時間とともに古くなり、直したり改善したりするのが大変になることがあります。これを「技術的負債」と呼びます。データ基盤では、なるべく誰でもわかりやすい、一般的なやり方でシステムを構築することで、将来のメンテナンスを楽にし、技術的負債を減らすことを目指します。
- 無駄なコストをなくす
- データ基盤を動かすには、エンジニアの人件費や外部サービスの利用料がかかります。これらを最適なバランスで組み合わせ、無駄なコストがかかり続けないように工夫することが大切です。
データ基盤を作り始める前に、次の2つのポイントをはっきりさせることが成功の鍵です。
- どんなデータを、何のために使うのか?
- 例えば、「お客様の購入履歴を使って、次のヒット商品を予測したい」のか、「ウェブサイトのアクセス状況を分析して、デザインを改善したい」のか、など、具体的に何をしたいのかを明確にしましょう。
- データを使って何をしたいのか?
- データをただ集めるだけでなく、「グラフで見える化したい」「将来を予測するAIを作りたい」「お客様ごとにおすすめを表示したい」など、具体的なゴールを決めましょう。
データ基盤を支える「土台」の考え方
データ基盤を作る上では、いくつかの基本的な考え方があります。これらを意識することで、より使いやすく、安全な基盤を構築できます。
既存のシステムに負担をかけない
今会社で使っている大事なシステム(例えば、会社の売り上げを管理するシステムなど)に、データ基盤が原因で不具合が起きたり、動きが遅くなったりしないように、慎重に接続方法を考える必要があります。
いろんな場所で使えるようにする
一度作ったデータ基盤が、マーケティング部門だけでなく、営業部門や商品開発部門など、はたまた様々なサービスで再利用できるように設計することが望ましいです。
データの安全を守る
お客様の情報や会社の秘密など、データには大切なものがたくさん含まれています。これらが外部に漏れたり、不正に利用されたりしないように、厳重なセキュリティ対策は絶対に必要です。
部分ごとに分けて柔軟にする
データを取り込んだり、加工したり、分析したりする一連の流れを、細かく部品に分け(これを「マイクロサービス」のような考え方と呼びます)、それぞれの部品が独立して動くようにします。 こうすることで、もしどこかの部品で問題が起きても、全体が止まることなく、問題箇所だけを直すことができます。
データを取り扱う技術は、本当にものすごいスピードで進化しています。 「これが一番!」という方法が、あっという間に古くなることもあります。 だからこそ、データ基盤は一度作ったら終わりではなく、常に変化に対応し、改善し続けられるような仕組みにしておくことが大切です。
データ基盤の進め方と選ぶポイント
データ分析基盤には以下の考え方が必須となる。
まずは、小さく始めてみるのがおすすめです。最初から完璧なものを作ろうとするのではなく、まずは必要な部分から構築し、少しずつ広げていくイメージです。
その上で、データ基盤で使う技術やサービスを選ぶ際には、いくつかの大切なポイントがあります。
検討ポイント | どんなことを考えるの? |
---|---|
拡張性 | 新しい種類のデータが増えたり、データ量が爆発的に増えたりしても、簡単に対応できるか? |
保守性 | 作った後も、メンテナンスが楽で、特別な知識がなくても管理できるか? |
コスト | 最初にかかる費用(初期コスト)と、毎月かかる費用(運用コスト)が、できるだけ安く抑えられるか? |
将来性 | 今選んだ技術やサービスが、これからも長く使われ続ける見込みがあるか? (すぐに使えなくなったりしないか?) |
継続性 | その技術が業界で一般的で、特別なカスタマイズをしなくても使えるか? |
再利用性 | もし将来、別の技術に切り替えることになった時に、スムーズに移行できるか? |
接続性 | 他のシステムやサービスと、簡単かつ安全につながるか? |
データ基盤は、まるで会社の「頭脳」を強化するようなものです。この頭脳がしっかりしていれば、未来を予測し、より良い判断を下し、会社を大きく成長させることができます。
もしこのデータ基盤に興味を持たれたら、ぜひ一歩踏み出して、その奥深さに触れてみてください。あなたの会社を、そしてあなたのキャリアを、もっと輝かせる力になるはずです!
データ分析基盤は4つのしくみをどうするかが重要
データ分析基盤の全体構成は以下。
その中でもとくに以下4つの仕組をどうすべきか検討することが求められる。
- 収集 (Ingestion)
- データの発生元からデータを集めるプロセス
- 蓄積 (Storage)
- データをストレージに保存し、データカタログを管理する
- 加工 (Processing)
- 保存したデータに対して適切な変換処理を行なう
- 分析 (Analytics)
- 変換済みのデータを活用する
これを実現するための構成技術を比較検討する。
構成する要素と技術
以下はあらためて整理する
収集 (Ingestion)
-
具体的な内容
- 元の業務データから、データ分析基盤へデータをコピー
-
検討すべき技術の観点
- データベース選定
- 処理性能:パフォーマンス、データ量
- 拡張性 : 水平スケール・垂直スケール
- データ構造 : スキーマ固定 or 非固定
- データサイズ
- データコスト
- データベース選定
-
検討項目
- 1.1. データソース
- 種類: Web API, IoTデバイス, RDBMS, ファイル(CSV, JSON)
- 対応プロトコル: REST API, WebSocket, FTP
- サポートされているコネクタ: Kafka Connect, Airbyte
- 1.2. データの形式
- 構造化: SQL, CSV, Excel
- 半構造化: JSON, XML, Avro
- 非構造化: 画像, テキスト, ログファイル
- 1.3. データ取得の方法
- バッチ収集: 定期実行 (Apache NiFi, Airflow)
- リアルタイム収集: ストリーミング (Apache Kafka, AWS Kinesis)
- 1.4. エラー処理と再送機構
- キュー管理: RabbitMQ, AWS SQS
- 再処理: リトライや死行列 (Dead Letter Queue)
- 1.1. データソース
-
ツール案
- Digdag
- 複雑なデータ処理をワークフローとして定義でき、スケジュール実行やリトライが可能。
- Embulk
- 大規模データのバルク転送が可能なOSSツール
- Digdag
蓄積 (Storage)
- 検討すべき項目
- 2.1. ストレージタイプ
- データベース:
- RDBMS (MySQL, PostgreSQL) → トランザクション処理に強い
- NoSQL (MongoDB, Cassandra) → スキーマレスやビッグデータ向き
- データレイク:
- Amazon S3, Azure Data Lake → 生データの柔軟な保存
- データベース:
- 2.2. パフォーマンスと拡張性
- スケーリング方法:
- 水平 (NoSQL, S3) vs 垂直 (RDBMS)
- キャッシング:
- Redis, Memcached で頻繁アクセス対応
- スケーリング方法:
- 2.3. コスト最適化
- ホット/コールドデータの分離:
- 頻繁アクセス: SSD, In-memory
- アーカイブ: HDD, Glacier
- ホット/コールドデータの分離:
- 2.4. セキュリティ
- 暗号化: AES-256 (保存時), TLS (転送時)
- アクセス管理: IAM, ACL (アクセス制御リスト)
- 2.1. ストレージタイプ
加工 (Processing)
- 検討すべき項目
- 3.1. 処理方式
- バッチ処理:
- Apache Spark, Hadoop MapReduce → 大量データの一括処理
- ストリーム処理:
- Apache Flink, Kafka Streams → リアルタイム分析
- バッチ処理:
- 3.2. ETL/ELTの選定
- ETL: データクレンジング後に保存 (Talend, Pentaho, )
- ELT: データをまず保存し、その後変換 (BigQuery, Snowflake)
- 3.3. データの変換とクレンジング
- 重複排除: データ統合時のID管理
- 標準化: 日付フォーマットや単位の統一
- フィルタリング: ノイズデータの除去
- 3.4. 処理の自動化と監視
- ワークフロー: Apache Airflow, Prefect
- 監視: Prometheus, Grafana
- 3.1. 処理方式
分析 (Analytics)
-
検討すべき項目
- 4.1. 分析のタイプ
- 記述的 (Descriptive):
- BIツール (Tableau, Power BI) → KPIやダッシュボード
- 診断的 (Diagnostic):
- SQL分析, ドリルダウン (Looker, Redash)
- 予測的 (Predictive):
- 機械学習 (Databricks, TensorFlow)
- 処方的 (Prescriptive):
- 最適化アルゴリズムやシミュレーション
- 記述的 (Descriptive):
- 4.2. データウェアハウスの選定
- 選定基準:
- Amazon Redshift → SQL対応とコストバランス
- Google BigQuery → スケーラビリティとサーバーレス
- 選定基準:
- 4.3. クエリ性能
- インデックス: カラムナ型 (ClickHouse, Apache Druid)
- キャッシュ: メモリ上での中間データ保持 (Redis)
- 4.4. 可視化とレポート
- BIツール: Tableau, Power BI, Looker
- インタラクティブ性: ドリルダウンやフィルター機能
- 4.1. 分析のタイプ
-
比較対象?:オープンソースかサービスに内包しているものを対象にするべきでしょうね
- Looker
- Kibana
- Redash
- Apache Superset
- Metabase
- Graylog