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なぜ、データ分析をするのにヒアリングなの?

まずは目的の明確化!顧客とのヒアリングはどうやるの?

あなたは「ヒアリング」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?

  • 「自分にはまだ早い」
  • 「何を聞けばいいかわからない」

そんな不安がある方も多いはず。

でも、実は誰でも最初は同じです。


【ストーリー】ヒアリングを軽視した新人の失敗例

ヒアリングを軽視した新人の失敗例

新人Aさんは「データさえ集めれば分析できる」と思い込み、顧客の話を深く聞かずに分析を始めてしまいました。
結果、顧客の本当の課題とズレた分析結果を出してしまい、やり直しに……。


なぜこうなったのでしょうか?



それは
「ヒアリング=設計図の素材収集」だと気づかず、顧客の本音や背景を引き出せなかったからです。



あなたなら、どうしますか?

「自分がAさんの立場だったら、どんな質問をしてみるか?」を1分だけ考えてみましょう。


【全体像】ヒアリングから分析・報告までの流れ


ヒアリングは、データ分析の土台であり、成功の鍵です。 ここがしっかりしていれば、後の分析や報告もスムーズに進みます。



【セルフチェック】あなたはどこまで準備できていますか?

  • 事前に顧客や業界の情報を調べたか?
  • ヒアリングの目的・ゴールを明確にしたか?
  • 聞くべき項目リストを用意したか?
  • ヒアリングシート(テンプレ)を準備したか?
  • 「なぜ?」を繰り返し、本質を深掘りする質問を考えたか?
  • ヒアリング後のアクション(まとめ・共有・次回予定)を決めたか?
現状どうですか?

ひとつでも「まだ…」と思ったら、本文を読み進めながら自分の準備状況をチェックしてみてください。


ここからが本題!ヒアリングでやるべき事柄


あなた自身の経験を思い出してみてください。 これまで「うまく聞き出せなかった」「何を聞けばいいかわからなかった」――そんな場面はありませんでしたか? ここからは、そんな悩みを解消するためのヒントを順番に解説します。


データ分析という華やかな世界に飛び込んだあなた。 データを集めて、グラフを作って、分析結果を出すのが仕事だと思っていませんか?

実は、データ分析の成功の鍵は「ヒアリング」にあります。

思い出してください。なんで分析をするのでしょうか?

お客様の「課題を解決するため」ですよね。 そのためには、まずお客様の課題を正確に理解する必要があります。

ヒアリングは、データ分析の“設計図”を描くための下準備です。

このコラムでは、データ分析を始めるにあたり、なぜヒアリングが必要なのか、その重要性と具体的な作業内容をステップを通じて解説します。


失敗しないためのコツ

「質問が抽象的すぎて本質に迫れなかった」「事前準備不足で場当たり的なヒアリングになった」など、新人がやりがちな失敗例とその回避策も随所で紹介します。

実は、お客様も課題を理解していない場合が多い?

実は、お客様も課題を理解していない場合が多い?

お客様は日々の業務に追われ、課題を明確に言語化できないことも多いです。 ヒアリングでは、潜在的なニーズや課題を引き出すことが大切です。

ヒアリングで必ず聞くべき7項目
  • 課題の背景(なぜ発生しているか)
  • 目指すゴール(どんな状態を実現したいか)
  • 成功の指標(何が出れば成功か)
  • 制約条件(予算・時間・リソース)
  • 過去の取り組み(何をやってどうだったか)
  • 競合や市場の状況
  • 関係者の意見(営業・マーケ・経営層など)

事前にこれらを整理しておくと、ヒアリングがスムーズに進みます。

ヒアリングのポイント

  • オープンな質問をする(例:「現在の業務で困っていることは?」)
  • 傾聴し、共感しながら深掘りする
  • 具体的な事例を引き出す(例:「最近のプロジェクトでどんな問題が?」)
  • 仮説を持って臨み、質問を深掘りする
  • 最後にフィードバックや次のアクションを明確にする
よくある失敗例
  • 質問が抽象的すぎて本質に迫れない
  • 事前準備不足で場当たり的なヒアリングになる → 聞くべきことリストと仮説を持って臨めば回避できます

また、ヒアリングは1回で終わるものではありません。 お客様とのコミュニケーションを通じて、徐々に課題を深掘りしていくことが重要です。そのため継続的なやり取りをしつつお客様と一緒に課題を解決していく姿勢が求められます。

安心してください 最初から完璧なヒアリングはできません。何度もやりとりしながら、少しずつ精度を高めていきましょう。

実は最終報告までヒアリングは続きます。そのため、その旨をお客様に伝えておくことも大切です。

ヒアリングする前にできることは山のようにある

お客様との時間も限られています。そのため、事前に情報を整理し、ヒアリングをスムーズにするために準備を行いましょう。

  • お客様の市場の競合やトレンド、関連団体の情報を調査する
  • お客様との日々のコミュニケーションを通じて、潜在的なニーズや課題を想像する
  • 過去のプロジェクトや事例を参考に、どのような課題があったかを振り返る
  • 政府や団体のガイドラインやベストプラクティス、データを調べる
  • 同様の業界や分野の専門家の意見を参考にする

ヒアリングと最終報告の関係

ヒアリングは、データ分析のシナリオ作成の基礎となります。 ヒアリングを通じて得られた情報をもとに、以下のような流れで最終報告を作成します。

ステップタスク内容
事前/実施中1. 課題の整理ヒアリングで得られた情報をもとに、課題を明確にする
2. 仮説の立案課題に対する仮説を立てる
3. データの収集仮説を検証するために必要なデータを収集する
4. 分析の実施収集したデータをもとに、分析を行う
5. 結果のまとめ分析結果を整理し、課題解決のための提案をまとめる
クロージング6. 最終報告の作成提案内容をもとに、最終報告を作成する
7. フィードバックの取得最終報告をお客様に提出し、フィードバックを受け取る
8. 改善点の反映フィードバックをもとに、必要な改善点を反映する
9. 最終報告の提出改善点を反映した最終報告をお客様に提出する
クロージング/提案10. 次のステップの提案最終報告をもとに、次のステップを提案する
11. 継続的なコミュニケーションお客様とのコミュニケーションを継続し、課題解決に向けた取り組みを進める
12. 成果の評価最終報告の成果を評価し、次のプロジェクトに活かす
13. 学びの共有プロジェクトの成果や学びをチーム内で共有し、次のプロジェクトに活かす

プロジェクトによっては、データが限られたり、時間が足りなかったりすることもあります。 QCD(Quality, Cost, Delivery)を意識しながら、最適なアプローチを選択することが重要です。

いずれにしても、データサイエンティストは、プロとしてお客様を先導し、課題解決に向けた最適な提案を行うことが求められます。 そのため、事前準備8割と言われるように、ヒアリングを通じて得られた情報をもとに、しっかりとしたシナリオを作成することが重要です。

具体的に初回ヒアリングに向けて準備すること

ここでは、初回のヒアリングに向けて具体的に準備することを紹介します。

あなたのToDo これから紹介する準備項目を、自分のプロジェクトに照らし合わせてチェックしてみてください。

1. ヒアリングの目的を明確にする

ヒアリングの目的を明確にすることで、必要な情報を効率的に引き出すことができます。

ワンポイント 「なぜこの目的を聞くのか?」を自分の言葉で説明できるようにしておくと、ヒアリングの場で自信を持って話せます。

ヒアリングの目的がないと意見も引き出せない

プロジェクトによっては、具体的な目的を設定することが難しい場合もありますが、先ほどのヒアリングのポイントを参考に、仮説の目的でも構いません。 間違っていれば、ヒアリングを重ねつつ修正していけば良いのです。

  • 目的の例
    • オーバーツーリズムの現状を把握する
    • 売上減少の要因を特定する
    • 新規顧客獲得のための施策を検討する
    • 業務効率化のための改善点を見つける

【ヒアリングシートベースでの解説】

そのまま使える!ヒアリングシート・テンプレート

ヒアリングをする際は、必ず事前に資料をお送りし、その資料をもとに打ち合わせに臨みます。下記テンプレートはコピペOKです。

# 〇〇登山におけるデータ活用に関するヒアリングシート

## ヒアリング基本情報
|項目|内容|備考|
|:---|:---|:---|
|作成日|〇年〇月〇日| |
|作成者|[自分の名前]| |
|ヒアリング日時|〇年〇月〇日〇時~〇時| |
|ヒアリング方法|対面/リモート| |
|出席者(お客様)|〇〇|※敬称略、順不同 |
|出席者(弊社側)|〇〇|※敬称略、順不同 |

|改版履歴| 日時 | 改版内容|
|:---|:---|:---|
|初版 0.9|〇年〇月〇日|初版作成|
|1.0|〇月〇日|1回目ヒアリング内容反映|

## はじめに
> **1.自己紹介**
〇〇観光課の皆様、本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。
データサイエンティストの[自分の名前]です。この度は、〇〇登山におけるデータ活用という、大変意義深いプロジェクトにお声がけいただき、身の引き締まる思いです。

> **2.ヒアリングの意図**
本日は、皆様が課題と感じていらっしゃる点を、私たちがデータ分析というアプローチでどのように解決できるか、その全体像と具体的な分析案をご提案させていただきたく、お伺いしました。
私たちの提案をたたき台として、皆様が現場で感じていらっしゃるリアルな課題感や、まだ言葉になっていない想いなどもお聞かせいただき、最終的なアウトプットの精度を共に高めていきたいと考えております。
具体的なヒアリング事項は後程お伝えいたします。

> **3.プロジェクトの確認**
なお、本プロジェクトの目的、スケジュールや進め方、最終的なアウトプットについて、改めて確認させていただきたいと思います。

システム開発でも同様ですが、まずは1回目のヒアリングをキックオフととらえ、自己紹介とヒアリングの意図、プロジェクトの確認を行います

あなたの一言メモ 「自分ならどんな自己紹介をするか?」を考えてみましょう。

2.ヒアリングの意図

ヒアリングの意図を明確にすることで、「 お客様も何を考えておけばいいのか 」や、この打ち合わせの目的 も分かり、スムーズに進行できます。

あなたの視点 「自分が顧客だったら、どんな情報を事前に知りたいか?」を考えてみると、より良いヒアリング設計ができます。

事前に考えておいていただきたいことも、可能な範囲でお伝えするのが良いでしょう。

3.プロジェクトの確認

プロジェクトの目的やスケジュール、進め方を確認することで、プロジェクトの基本内容を合意します。 ここが揺らぐと、ヒアリングの方向性が不明確になり、最終的なアウトプットの精度にも影響を与えます。

あなたのToDo 「この確認事項、自分の現場で抜けていないか?」をチェックしてみましょう。

確認事項としては、以下が考えられます。

  • プロジェクトの目的:何を達成目標とするのか
  • スケジュール:いつまでに何をするのか?
  • 進め方:どのように進めるのか?
  • 最終的なアウトプット:どのような成果物を作成するのか?
  • 関係者の役割:誰がどのような役割を担うのか?
  • コミュニケーションの方法:どのように情報共有を行うのか?

【サンプル】


>**プロジェクトの目的**

## 1. 本プロジェクトのゴール設定

まず、入山〇〇システムで収集できるデータを活用し、基本統計として「今シーズンにおける登山者の実態把握」を第1のゴールとさせていただきます。

また、以下の3つのお困りごとを解決するための「示唆」を導き出すことも本プロジェクトのゴールとさせていただければと存じます。

- インバウンド登山者の課題解決と満足度向上

- 登山客の県内周遊促進(〇〇山以外の観光地への誘導)

- 〇〇山の登山混雑の緩和(安全性と快適性の向上)

:::warning[注意点]
基本的には、今回取得できるデータは、入山〇〇システムで収集できるデータに限られます。
プロジェクトのゴールは「基本統計の把握」と「示唆の導出」となります。
そのため、具体的な施策の立案や実行は、別途検討が必要となります。
:::

## 2. 本プロジェクトのスケジュール

本プロジェクトは、以下のスケジュールで進める予定です。
|ステップ|内容|期間|
|:---|:---|:---|:---|
|1. ヒアリング|お客様の課題やニーズをヒアリングし、プロジェクトの方向性を確認|〇年〇月〇日|
|2. データ収集|入山〇〇システムから必要なデータを継続的に収集|〇年〇月〇日|
|3. データ分析|収集したデータをもとに、基本統計の把握と示唆の導出を行う|〇年〇月〇日|
|4. 中間報告|分析結果を中間報告としてお客様に提出し、フィードバックを受ける|〇年〇月〇日|
|5. 最終報告|最終的な分析結果と提案をまとめ、最終報告をお客様に提出|〇年〇月〇日|
|6. フィードバック|最終報告に対するフィードバックを受け取り、必要な改善点を反映|〇年〇月〇日|

>```mermaid
>gantt
> title プロジェクトスケジュール
> dateFormat YYYY-MM-DD
> section ステップ
> ヒアリング :a1, 2024-07-01, 1d
> データ収集 :a2, after a1, 2d
> データ分析 :a3, after a2, 3d
> 中間報告 :a4, after a3, 1d
> 最終報告 :a5, after a4, 1d
> フィードバック :a6, after a5, 1d
>```

※日付は現時点の例です。実際のスケジュールに合わせて調整いたします。

## 3. 本プロジェクトの進め方

本プロジェクトは、今回のヒアリングを元に先ほどのステップで進める予定です。
中間報告を挟む予定ですが、示唆を得るための重要な機会と考えています。
適宜、お客様からのフィードバックを受けながら、進めていきたいと考えています。
また、最終報告の際には、以下のような成果物を作成します。

- 基本統計のレポート(PDF形式のレポート)
- 示唆のレポート(PDF形式のレポート)
- データの可視化ダッシュボード(可能であれば)
- 今後の施策提案

## 4. プロジェクトにおける担当役割

|役割|担当者|備考|
|:---|:---|:---|
|プロジェクトマネージャー|[自分の名前]|プロジェクト全体の進行管理と調整を担当します。|
|データサイエンティスト|[自分の名前]|データ分析と可視化を担当します。|
|データエンジニア|[自分の名前]|データ収集と前処理を担当します。|
|お客様担当者|〇〇|分析の結果を確認し、フィードバックを行います。|

## 5. コミュニケーションの方法

本プロジェクトでは、以下の方法でコミュニケーションを行います。

- **中間報告**:月1回リモートミーティングを実施し、進捗状況や課題を共有します。
- **定期的な連絡**:必要に応じて、メールやチャットツールを活用し、情報共有を行います。
- **ドキュメント共有**:プロジェクトの進捗や成果物は、共有ドキュメント(Google Driveや簡易分析サイトなど)で管理し、関係者全員がアクセスできるようにします。

このように、プロジェクトの基本内容を合意することで、プロジェクトの方向性が明確になり、スムーズに進行できます。

2. 分析の具体的な方向性の認識を共有する

ヒアリングの目的を明確にしたら、次は具体的な分析の方向性を共有します。 ここでは、以下のような情報を共有します。

  • 分析の目的:何を明らかにするための分析なのか
  • 分析の手法:どのような手法を用いて分析を行うのか
  • 分析の範囲:どのデータを対象に分析を行うのか
  • 分析の成果物:どのような成果物を作成するのか

【ヒアリングシートベースでの解説】


## 1. 分析の目的
本プロジェクトでは、入山〇〇システムで収集できるデータを活用し、以下の目的で分析を行います。
- **基本統計の把握**:今シーズンにおける登山者の実態を把握する
- **示唆の導出**
- インバウンド登山者の課題解決と満足度向上
- 登山客の県内周遊促進(〇〇山以外の観光地への誘導)
- 〇〇山の登山混雑の緩和(安全性と快適性の向上)
## 2. 分析の手法

### 2. 基本統計の把握:データから現状を正しく理解する(Fact Finding)

何よりもまず、議論の土台となる「客観的な事実」を固めることが重要です。入山〇〇システムのデータから、まずは以下のような現状把握(可視化)を行います。

- 登山者全体のプロファイリング
- 登山者はどのような人々か?(国籍、年代、性別、居住地の構成比)
- 「宿泊」と「日帰り(弾丸登山)」の割合は?それは国籍や年代によって違いがあるか?
- 登山行動の可視化
- どの登山口が、どの層(国籍・年代)に人気があるのか?
- GPSデータから、実際の登山ルート、人気の休憩ポイント、山頂での平均滞在時間などを地図上にプロットします。

- 混雑状況の可視化
- 月別・曜日別・時間帯別に、どの登山口・どのルートがどれくらい混雑しているのかをヒートマップなどで可視化します。

それぞれ可視化した結果をもとに、以下のような分析を行います。

- 登山者の属性分析
- 登山行動の傾向分析
- 混雑状況の分析

具体的には、可視化することにより洞察を得ることを目指します。

- **洞察の例**
- 特定の国籍の登山者が特定の登山口を好む傾向がある
- 平日と週末で登山者の行動パターンが異なる
- 混雑時間帯が特定の時間に集中している

### 3. 示唆の導出:課題解決のための提案(Insight Generation)

次に、基本統計の把握と可視化および関連データを活用した分析をもとに、以下のような示唆を導出します。

:::warning[注意点]
示唆の導出は、あくまで「課題解決のための提案」です。
そのため、具体的な施策の立案や実行は、別途検討が必要となります。
また、今シーズンにおける得られるデータの範囲内での示唆となります。
:::

#### 課題①:インバウンド問題へのアプローチ

インバウンド登山者の動向を深く理解し、マナー改善や満足度向上に繋げます。

|分析提案 |分析内容 |この分析で得られる示唆の例|
|:---|:---|:---|
|国籍別・登山行動パターンの比較分析 |国籍ごとに、GPSデータから登山ペース、休憩の取り方、山小屋の利用傾向などを比較分析します。|「A国からの登山客は比較的早いペースで登るが、下山時の速度低下が著しい。下山時の膝への負担を軽減するような情報提供が有効かもしれない」
「B国からの若年層は、特定の絶景ポイントでの滞在時間が長い。SNS映えを意識した情報発信が満足度向上に繋がりそうだ」|
|【外部データ活用】SNS感情分析|X (Twitter)やInstagram等から「#fujimountain」等のキーワードで投稿を収集。内容を分析し、ポジティブ/ネガティブな声を抽出します。|「『景色は最高だったがトイレが少ない・汚い』という声が多数見られる。特に〇合目のトイレに関する不満が多い」
「『〇〇(地名)から見る逆さ富士が美しかった』など、まだあまり知られていない魅力的なスポットを発見できる」|

#### 課題②:〇〇山以外の観光地への誘導(周遊促進)

「〇〇山だけ」で終わらせない、効果的な周遊ルートの設計と情報提供を目指します。


|分析提案 |分析内容 |この分析で得られる示唆の例|
|:---|:---|:---|
|【外部データ活用】登山前後の広域人流分析|携帯電話の位置情報データ(キャリア等が提供)とチケットデータを組み合わせ、登山客が登山前後に県内のどこを訪れているかを分析します。|「〇〇宮ルートを利用した登山客は、白糸の滝や朝霧高原への立ち寄り率が高い。この層に、さらに西伊豆の夕日や温泉を組み合わせたプランを提案できないか?」
「海外からの登山客は、御殿場プレミアム・アウトレットを経由する割合が非常に高い。アウトレットと連携し、周辺の宿泊施設や飲食店のクーポンを配布してはどうか」|
|周遊促進レコメンド分析 |登山者の属性(国籍、年代、家族構成)と登山スタイル(宿泊/日帰り)を元に、興味を持ちそうな観光地の組み合わせを分析します。|「アクティブな20代グループには、登山後に〇〇サファリパークを推薦」
「宿泊するファミリー層には、翌日に楽しめる『まかいの牧場』や『ぐりんぱ』といった体験施設をセットで提案する」|

#### 課題③:〇〇山混雑問題

科学的根拠に基づいた混雑緩和策を立案し、登山者の安全と満足度を向上させます。

|分析提案 |分析内容 |この分析で得られる示唆の例|
|:---|:---|:---|
|混雑予測モデルの構築 |過去の登山者数、曜日、祝日、**天気予報(外部データ)**などを組み合わせ、未来の混雑状況を予測するモデルを構築します。|「来週末の土曜日は晴天予報のため、吉田ルートは午前8時頃に8合目付近で渋滞発生確率90%」といった予測が可能に。ウェブサイト等で事前に告知し、入山時間の分散を促すことができる。|
|GPSデータによるボトルネック特定 |全登山者のGPS軌跡データから、登山者の速度が著しく低下する地点(渋滞のボトルネック)を正確に特定し、ヒートマップで可視化します。|「特定の岩場や山小屋の前で、常時速度低下が見られる。物理的な対策(足場の改善、ロープの増設)や、誘導員の配置、SNSでの注意喚起が有効である」|

このように、具体的な分析の内容から示唆のイメージを共有することで、お客様との認識のズレを防ぎます。

あなたの気づき 「自分のプロジェクトで、どんな示唆が出せそうか?」を考えてみると、より実践的なイメージが湧きます。

まとめ

ヒアリングは、データ分析の成功に不可欠なステップです。 お客様の課題を正確に理解し、分析の方向性を共有することで、最終的なアウトプットの精度を高めることができます。 ヒアリングを通じて得られた情報をもとに、しっかりとしたシナリオを作成し、データ分析を進めていきましょう。

最後に ここまで読んで「自分もやってみよう」と思えたら、ぜひ一歩踏み出してみてください。最初の一歩が、あなたの成長につながります。


よくある質問(FAQ)

Q. ヒアリングで沈黙が続いたらどうすれば? A. 「最近困っていることは何ですか?」など、オープンな質問に切り替えましょう。沈黙も大事な情報です。

Q. 事前準備が不十分だったときは? A. 正直に「追加で確認させてください」と伝え、次回までに準備しましょう。完璧を目指すより、誠実な対応が大切です。

Q. うまく深掘りできないときは? A. 「なぜ?」を3回繰り返すと本質に近づきやすいです。


次のステップ

次のステップとして、ヒアリングをもとに具体的な分析シナリオを作成し、データ収集と分析を進めていきます。

  • シナリオ作成の方法については、こちらのページを参照してください。
  • 最終報告の作成方法については、またの機会に解説します。