メインコンテンツまでスキップ

1-2. グラフを一瞬で理解できる仕組みを知ろう

投稿者:Yukina Matsumoto

なぜグラフを見ると一瞬で理解できるの?

データを可視化することで、簡単に情報を理解できるようになることを前回学びました。
しかし、なぜグラフを見ると一瞬で情報を理解できるのでしょうか?
それは、グラフを見たときに色や形、長さ、配置などをもとに無意識に情報を区別したり優先順位をつけているからです。
これがどういうことなのか、実際に体験してみましょう。

以下の図を見てください。
5秒以内にこの中に9がいくつあるか数えられますか?

1 9 2 8 4 4 3 2 6 2 8 7 5 3 9 1 4 6 8 2 7 3 5 4
2 9 0 1 9 3 1 6 2 6 8 5 9 0 8 7 4 3 2 1 0 5 1 9
3 8 1 2 7 4 2 5 3 7 9 6 8 1 0 9 6 5 4 3 2 1 0 2
4 7 2 3 6 5 3 4 4 8 0 7 7 2 1 8 5 6 5 4 3 2 1 3
5 6 3 4 5 6 4 3 5 9 1 8 6 3 2 7 4 7 6 5 4 3 2 4
6 5 4 5 4 7 5 2 6 0 2 9 5 4 3 6 3 8 7 6 5 4 3 5

続いて、以下の図を見てください。
同様に5秒以内に9がいくつあるか数えてみてください。

1 9 2 8 4 4 3 2 6 2 8 7 5 3 9 1 4 6 8 2 7 3 5 4
2 9 0 1 9 3 1 6 2 6 8 5 9 0 8 7 4 3 2 1 0 5 1 9
3 8 1 2 7 4 2 5 3 7 9 6 8 1 0 9 6 5 4 3 2 1 0 2
4 7 2 3 6 5 3 4 4 8 0 7 7 2 1 8 5 6 5 4 3 2 1 3
5 6 3 4 5 6 4 3 5 9 1 8 6 3 2 7 4 7 6 5 4 3 2 4
6 5 4 5 4 7 5 2 6 0 2 9 5 4 3 6 3 8 7 6 5 4 3 5

正解は「10個」です。
上も下も数字の並びは全く同じですが、下の図では5秒以内に数えられたと思います。
では、なぜ下の図では短時間で数えられたのでしょうか?

あなたが今体験したことの正体

下の図の方が短時間で数えられた理由、それは、上と下で視覚的な情報処理の仕方が違ったからです。

  • 上:すべての文字色が同じため、1つずつ数字を確認して9を識別する必要がある
  • 下:全体を見たときに9だけ色が違うと認識(推測)でき、赤い数字を探すだけで済む

このように、文字の色を変えただけで、情報処理の効率が向上しました。
これは、視覚属性という物体が持つ特徴と、ゲシュタルトの法則という人間がもつ認知の仕方のおかげです。
それでは、この2つの原理について詳しく見ていきましょう。

1. 視覚属性

視覚属性とは、物体が持つ色や形、長さ、位置、向き、大きさなどの視覚的な特徴のことです。
下表は、人間が認識しやすい順番に視覚属性を並べたものです。
例えば、色よりも位置の違いの方が、わずかな違いでも認識しやすいということを意味します。

代表的なグラフである棒グラフ棒の長さで比較しますし、折れ線グラフ点の位置線の向きを組み合わせています。
どちらも強い視覚属性を用いており、要素も少ないため、一瞬で理解しやすいグラフとなっています。
一方、円グラフ角度面積を用いているため、棒グラフや折れ線グラフに比べると理解しにくい場合があります。

視覚属性アイコン説明強弱使われるグラフ
位置_ _ ⁻ _上下左右といった位置の違い折れ線グラフ、散布図、地図全般
長さ||╵|線や棒の長さ棒グラフ、ヒストグラム
向き(角度)||/|線など物体の傾き折れ線グラフ、円グラフ
太さ(幅)||┃|線や棒の太さヒストグラム、補助的に使用
大きさ(面積)・・●・物体の大きさ円グラフ、バブルチャート
色(彩度)● ● 色の鮮やかさヒートマップ、コロプレスマップ、補助的に使用
色(色相)● ● 赤、青など色味の違いヒートマップ、コロプレスマップ、補助的に使用
● ● ▲ ●丸、三角、四角などの物体の形補助的に使用

また、太さ(幅)や色(彩度・色相)、形は、グラフの一部を強調したり、区別したりするのに役立ちます。
例えば、折れ線グラフの目盛線を薄いグレーの細線、折れ線を青色の太線にすることで、自然と折れ線が目立ちます。

2. ゲシュタルトの法則

ゲシュタルトの法則とは、バラバラの情報を、視覚属性をもとに無意識にまとまりとして認識しようとする心理現象のことです。
法則は全部で7つありますが、その中でもデータ可視化に関係が深い4つを紹介します。

種類アイコン説明
近接●● ●● ●●近くにあるものを一つのまとまりとして認識
類同●●■■●●同じ色や形のものを一つのまとまりとして認識
連続≠ =と/連続したものをひとまとまりとして認識
閉合)( )( )(閉じた領域で囲まれたものをまとまりとして認識

先ほどのクイズではという視覚属性を用いて、同じ色を持つものを一つのまとまり(類同)として認識したということです。
そして、データの可視化も、視覚属性とゲシュタルトの法則を活用して人間が無意識のうちに簡単に理解できるようにするための手法です。

実際のグラフで2つの原理を確認しよう

具体例を見てみましょう。
広告費と売り上げの関係を示す散布図を作成してみます。

グラフを見ると、広告費と売り上げが概ね比例関係だとわかります。
加えて、広告費29万円の時だけ売り上げが跳ね上がっていることも読み取れます。
では、なぜ一瞬でこれらの情報を理解できたのでしょうか?

まず、散布図は視覚属性の位置を用いたグラフです。
そして、点の位置に偏りがあったり規則性があると、私たちはゲシュタルトの法則に従ってそれらの点をまとまりとして認識します。
例えば、上のグラフではほとんどの点が右肩上がりの直線状に連続しているように見えるため、私たちは広告費と売り上げが比例していると認識するのです。
そして、直線状のまとまりの範囲から外れた位置にある点は外れ値として認識するのです。

まとめ:迷ったときは2つの原理に立ち返ろう

ここまで、データ可視化によって人間がデータを理解しやすくなる仕組みについて説明しました。
それは、視覚属性ゲシュタルトの法則という2つの原理に基づいています。

データ可視化とは、この2つの原理を活用して、見る人が直感的にデータの意味を理解できるように情報を整理する技術です。
だからこそ、適切なグラフを選んだり、必要な箇所を強調したりすることが重要なのです。

この2つの原理を知っておくと、グラフ作成で迷ったときに「なぜこのグラフの方が伝わりやすいのか」「なぜこの表現では伝わりにくいのか」を判断できるようになります。
グラフを作成していて迷ったときはこのページに戻って、視覚属性とゲシュタルトの法則の観点から見直してみてください。

参考資料